学部長挨拶
経営学部長 大雄 智
専門性と統合力が拓く新たな可能性


横浜国立大学経営学部は、高度経済成長期のさなか、日本の総人口が1億人を超えた1967年に創設されました。以来、経済社会環境の変化に即して教育プログラムの見直しを重ねながら、企業経営をめぐる知識、思考力、実践力を育む場として存在してきました。これまで多くの有為な人材を社会に輩出し、とりわけ実業界において本学部卒業生は高い信頼と評価を得ています。
本学部では、特定分野の「専門性」とともに幅広い知識をつなぎ「統合する力」を備えた人材の育成を目指し、企業経営に係る知識の深化とその実践への応用を図っています。学生の皆さんは、1年次より、「マネジメント」、「アカウンティング」、「マネジメント・サイエンス」の3つの分野を体系的かつ段階的に学び、各々の興味・関心に沿って専門性を身につけるとともに、3年次より、高い視座・広い視野から分野横断的に「グローバルビジネス」を学びます。また、2021年度に開設されたデータサイエンス教育プログラム(Data Science Education Program: DSEP)では、データ分析テクノロジーを課題解決や事業創造に活かすビジネスリーダーの育成を目指したカリキュラムが整備されています。さらに、2023年度からは、経営学と経済学の専門知識ならびに実践的な英語力を備えたビジネスパーソンを育成するGlobal Business and Economics教育プログラム(GBEEP)が、副専攻プログラム(GBEEP-Biz)として提供されています。
また、大学院に進学してさらに専門性を磨きたい学生には、5年間で学士と修士の学位を取得できる5年一貫教育プログラムを用意しています。その他、海外の協定校への交換留学制度や、企業での就業体験(インターンシップ)の成果を単位として認定するキャリア実習制度など、国際性と実践性を育む機会も提供しています。このように、学部から大学院へ、国内から海外へ、大学から企業へと、異なる環境に身を置きながら学び、新たなものの見方、考え方を獲得することが、課題解決に向けた専門知識の統合と実践への展開を推進する鍵になります。
本学部には、多様な領域から、体系的・先端的な研究に取り組んでいる教員が集まっており、各々が専門的かつ少人数制のゼミを開講しています。学生の皆さんは、教員を含むゼミのメンバーとの議論や協働をとおして、専門的な知識・技能を深めるとともに、自分の可能性を拓いていきます。また、本学部は、企業・団体等が提供する科目や実務家・専門家が担当する科目も用意し、学生の皆さんが、理論と実践を関連づけ、将来の進路を展望できるようにしています。就職活動・起業活動においては、本学社会科学系同窓会である「富丘会」や、本学卒業生・在学生・教職員を会員とする「横浜国立大学校友会」からのサポートも得られます。
本学部が創設された1967年当時とは対照的に、現在の日本では、人口減少社会への対応が喫緊の課題とされています。地球環境や国際情勢をめぐる不確実性も高まっており、そうした時代のなかで、私たちは、悲観論にも楽観論にも偏ることなく、歴史に学び、自ら問いを立て、新たな可能性を見出したいものです。そこでは、自分とは異なるものの見方、考え方と交わることが大切であり、それが視点の転換や発想の飛躍につながります。学生の皆さんが、本学部で創り出される学びの場をとおして専門性と統合力を高め、将来、個人や組織、社会の課題の解決に寄与されることを心から期待しています。